イタリア男子バレーボールリーグセリエA後半第1節、リーグ7位の石川祐希所属ミラノは現地時間12月17日(土)にアウェイで同8位のチステルナと対戦し、1-3(21-25, 25-20, 23-25, 20-25)で敗れました。
石川祐希はこの試合スタメンで出場し、チーム2位の15得点をあげました。
第1セットスタメン
ミラノ
OH:石川、エバディプール(イラン)
MB:ヴィテッリ(イタリア)、ロセル(アルゼンチン)
OP:パトリィ(フランス)
S:ポッロ(イタリア)
L:ペサレージ(イタリア)
チステルナ
OH:セドラチェク(クロアチア)、バイラム(トルコ)
MB:ジンゲル(オーストラリア)、ロッシ(イタリア)
OP:ジルリッチ(クロアチア)
S:バラノヴィッチ(イタリア)
L:カターニャ(イタリア)
※ポジション:OH=アウトサイドヒッター、MB=ミドルブロッカー、OP=オポジット、S=セッター、L=リベロ
この試合のスタッツはこちら
試合レポート
第1セット、チステルナが序盤からブロックでタッチを取りOPジルリッチがカウンターアタックを決めるなどして1-4とリードします。
ミラノもOH石川やOPパトリィのスパイク、また相手OHセドラチェクに続けてミスが出るなどして13-13と追いつき、そこからはシーソーゲームとなります。
しかしチステルナがOHバイラムとリリーサーバーのOHグティエレスにエースで出て18-21と終盤に抜け出すと、更にミラノOPパトリィとOHエバディプールがそれぞれチステルナのブロックに捕まり20-24としてチステルナがセットポイントを握ります。
最後はMBロッシのクイックが決まって21-25でチステルナが第1セットを取ります。
第2セット、ミラノはOH石川とOHエバディプールの位置を入れ替えてスタートします。
序盤は両OPの打ち合いとなりますが、チステルナにミスが続いて12-9とミラノがリードします。
更にMBロセルのサービスエースやSポッロのバックアタックが決まるなどして3連続ブレイクに成功したミラノが18-11とリードを広げます。
その後OHバイラムに代わって入ったOHグティエレス(キューバ)の高さのあるスパイクや、Sバラノヴィッチのサービスエースなどで22-19とチステルナが3点差まで追い詰めます.
しかし途中交代のMBピアノがOPジルリッチをブロックで仕留めて24-19とセットポイントを握り、最後は相手のサーブがミスとなり25-20でこのセットをミラノが奪い返します。
第3セット、チステルナはOHグティエレスをそのままスタートから起用。
序盤はOHセドラチェクのOPパトリィを止めるブロックやミラノのアタックミスが続いて3-7とチステルナリードでセットが始まります。
しかしOH石川がサーブでOHグティエレス続けて崩し、自身のエースやMBロセルのブロックなどで4連続ブレイクして10-9と逆転に成功します。
チステルナはOHグティエレスに代えてOHカリベルダ(ドイツ)を投入しパスを安定させると、そこからはしばらくサイド攻撃を中心にお互いサイドアウトを取り合う形となります。
しかしチステルナがしつこいディフェンスからOHカリベルダのスパイクやOPジルリッチのブロックでブレイクに成功し19-21と抜け出します。
終盤ミラノもギリギリのところでつないだボールをOPパトリィやOH石川が得点にして23-23と同点に追いつきますが、最後もOHカリベルダがカウンターアタックを決めきって23-25とチステルナが接戦の第3セットをものにします。
第4セット、チステルナはOHカリベルダを引き続きスタートから起用します。
最初からそのOHカリベルダのサービスエースでチステルナがいきなりブレイクを奪うと、その後OHエバディプールやOPパトリィが続けてブロックされるなど、ミラノがサイドアウトで苦しみ2-8とチステルナが大きくリードします。
ミラノはOHメルガレホとMBピアノを投入し、更にOH石川のスパイクなどでうまくサイドアウトを取れるようになりますが、チステルナもOPジルリッチやOHカリベルダがスパイクでしっかり得点してミラノにブレイクを許さず、8-14と点数を縮められないまま中盤に入ります。
その後ミラノがようやく調子が上がり始めたOPパトリィのサービスエースやアタックなどで連続ブレイクを奪い15-17と2点差まで詰め寄るも、直後のリリーフサーバーで入ったOHグティエレスの緩急をつけたサーブにミラノが苦しみ、エースを含む3連続ブレイクで15-21と再度点差を離されてしまいます。
ミラノはOH石川のスパイクで18-23とすると、そのままサーブに下がったOH石川がエース級の渾身のサーブを相手コートに放ち続けて20-23と2ブレイクを奪うも反撃はここまで。
ハイセットをOPジルリッチが上手く得点に変えて20-24とチステルナがマッチポイントを握ると、最後はOHエバディプールのスパイクがアウトになり20-25でこのセットも取ったチステルナが1-3でミラノに勝利しました。
MVP:OPペタル・ジルリッチ(30得点(うちブロック8)、アタック決定率47%)
石川は15得点(うちサーブ1、ブロック1)、アタック決定率43%、サーブレシーブ成功率29%(失点2)でした。
ミラノはこれで通算6勝6敗17ポイントで暫定8位となりました。
次週はクリスマスが明けた現地時間12月26日(月)18:00(日本時間翌2:00)から、ホームで9位のモンツァと対戦します。
前半戦のレポートはこちら↓
感想など
この日は現地観戦・取材でした!
まず試合当日の朝6:15発のウィズエアーというLCCを使ってワルシャワ・ショパン空港からローマ・レオナルドダヴィンチ空港まで飛びます。
しかし飛行機に搭乗してから全然出発する気配がないので何かと思ったら、どうやらお客さんの中に体調不良者が出たらしくその処置のために遅れているとのこと。
結局予定より1時間以上遅れてなんとか離陸しました。
ちなみにこの日でウィズエアーを利用したのは今年6回目だったのですが、その内4回遅延(しかもうち3回は5時間以上の遅延)に遭遇していて、更に石川の試合を見ようとして乗った場合の遅延率は100%です(笑)。
もうミラノの試合を見るときにウィズエアーを使うのはなるべく控えます。
でも今回はそれも見越しての早朝便だったので、10時ごろにローマ・レオナルドダヴィンチ空港に着き、そこからバスでローマ・テルミニ駅まで移動(片道6ユーロ、所要時間約1時間)。
それでもまだ時間があったのでかの有名なコロッセオまでちょっとお散歩。
ローマ・テルミニ駅からコロッセオまでは歩いて20分くらいなのでよい運動+暇つぶしになります(笑)。
ローマ・テルミニ駅から今回の目的地であるチステルナまでは普通列車で30分、運賃も3ユーロと便利でリーズナブルです。
チステルナ行きは1時間に1本くらい出ていました。
チステルナ駅の駅舎はコンパクト
さらに試合会場も駅から歩いて10分弱とアクセスもとてもよいです。
現在日本からイタリアへの直行便がローマまでしかないことを考えると、バレーの会場として日本からのアクセスがいちばんいいのはチステルナかもしれませんね。
ただチステルナ自体に観光や時間を潰す場所がほとんどないので、ギリギリまでローマ観光されることをおすすめします。
また会場敷地内のゲートが工場のゲートみたいでした(笑)。
でもちゃんと今日の試合のポスターがある!!!
そして体育館はほんとうにフツーの体育館。
外観は日本だとその辺の市民体育館レベルですね。
アリーナ内部もこんな感じ↓
席はただのコンクリートだったので、お尻が弱い人はクッションを持参された方がいいかもしれません…。
会場には少ないながらミラノファンの姿も見られました。
選手たちはいつもどおり個別のストレッチと合同ウォームアップの終えてボールを使った対人パスに入ります。
石川の相手はいつもどおりのパトリィ。
そしてスパイク練習に入っていくわけですが、そこでひときわ目を引いたのがチステルナのキューバ人OHグティエレス。
身長は194cmと石川と同じくらいでバレーボール選手としては小柄な方なんですが、あなた跳び過ぎじゃないですかってくらい跳んでて鋭いスパイクを真下にかちこみまくっていました(笑)。
ネットで調べたところ彼の最高到達点は350cmとありましたけど、見た感じだと370cmくらいはあるんじゃないでしょうか。
年齢は日本の髙橋と同じ21歳で、今後さらに化けるであろう末恐ろしい選手です。
そしてサーブ練習のときは僕の席の前がミラノ選手で大変渋滞しておりました(笑)。
そんなこんなしているうちに試合が始まります。
この日のミラノOH対角は石川―エバディプールで、今回は石川がセッターに近い2番ポジション。
ピアッツァはここは固定化せずに試合によって柔軟に組んでいる印象です。
2セット目以降は入れ替えたりしてましたし。
でも試合が始まるや否や気になったのがコートの周りでボールを流しているボールボーイの意識の低さ…。
試合開始5点目くらいで2回もサーブ時の選手にボールを渡し忘れてて、見てる方も「おいおい」と思ってしまいました。
(そして案の定この後彼らはコート内にボールを入れてしまいラリーを中断させるという大失態を犯します…)
あとチステルナ応援団がミラノのサーブ時にブーンイングするのはいいんですが、同時に空襲警報のようなサイレンを毎回鳴らしてて、それは流石にやめてくれと思ったり。
まあそんなこんな試合は進むわけですが、チステルナのブロック祭りでしたね。
特にミラノのOHエバディプールとOPパトリィが止められまくりました(パトリィ、第4セット中盤あたりでようやく乗ってきたけどもう遅かった)。
またミラノは石川以外の選手のサーブがなかなか走らず、普段なら必ず1回はエースを決めてくれるポッロやヴィテッリも今回はエースなし(ふたりとも髪切ったからかな…(笑))。
最終兵器OHメルガレホも今回は振るわず…。
ミラノ、チステルナ両チームともお互いにフロアディフェンスの良いチームで長いラリーが多い我慢の必要な試合になりましが、ブロック・サーブという面でチステルナが上手でした。
MVPを取ったOPジルリッチやサーブでミラノを苦しめたSバラノヴィッチ、職人OHカリベルダらもすごかったですが、試合でも個人的に目を引いたのが21歳のOHグティエレス。
2セット途中でコートに立つとスパイクはほぼブロックの上から打ってましたし、ブロックも高くてポイントこそなかったもののしっかりとタッチを取ってカウンターアタックに貢献してました。
ただ3セット目に我わが石川先生にサーブで狙われて退場を余儀なくされましたが、4セット目にリリーサーバーで登場したときには、誰もがハードヒットを予想していたところにショートサーブを打ってエースを取るなどずる賢さも兼ね備えてるんですよ彼。
しかも2本目以降はハードヒットでガンガン崩しにかかってくるし。
いやいややっぱりキューバ人選手怖いですわ(笑)。
しかし、本当にそんな中でも気を吐いていた我らが石川先生。
彼以外の2人のサイドアタッカーの調子が上がらないなか、前から後ろからアタックしてミラノのサイドアウトを支えていました。
またこの日もサーブがよく、第3セットは4連続ブレイク、第4セットの最後も気迫のこもったサーブで2連続ブレイクなどしてチステルナを苦しめていました。
個人的に第4セットで石川がいちばん最後にサーブを打つようにしてしまったのはピアッツァ監督の采配ミスだったんじゃないかと思います。
チステルナが大きくリードしていた場面でも石川のサーブの前にタイムアウトを取られるほど相手に警戒されてましたから、最後のセットは石川からサーブを打てるような順番にすべきだったんじゃないのかな。
しかし石川、現地で見ると改めてプレーだけじゃなくそのアツさやキャプテンシーに魅了されます。
得点きめたら吠えるし、他の選手が得点を決めたときはもっと喜ぶし、隙あらばみんなに声かけてるし、悔しいときには床ドンするし。
見てるこっちもなんか心動かされますね。
特に第4セット、18-23でほぼチステルナが勝利確定で会場大盛り上がりのときのサーブ。
僕は「伝説を見せてくれ石川先生!!」と思いつつも、なんだか見てるのが辛くてプレーなかなか直視できませんでした。
それでも彼は打ち込んだ、渾身のサーブを。
そしてミスなく相手を崩し続けた。
チステルナに24点目をとられたラリーのサーブもほとんどエース級のサーブでしたよ。
あれをトスにして決めたチステルナ、OPジルリッチがすごかった。
でも悔しかった…。
本当は本人がいちばん悔しいでしょうけど、いつもどおり試合後は笑顔でインタビューに対応してもらいました。
これで僕のイタリア現地取材での日本人チームの連敗記録が6に更新されてしまい大変ショックでしたが、次こそは石川選手に勝利インタビュー、願わくばMVPインタビューができるように取材活動を続けていきたいと思います!!!
とりあえずミラノ、チステルナ両チームの選手、スタッフの方々お疲れさまでした。
ありがとうございました!!!
写真:Lega Pallovolo Serie A、筆者撮影
この試合の石川選手へのインタビュー記事はこちら↓