2023年1月21日(土)から23日(月)にまたイタリアバレー取材旅行に行ってきました!
今回、当初の予定では土曜日にヴェローナでミラノ(石川祐希)対ヴェローナ、日曜日にパドヴァでパドヴァ(髙橋藍)対ターラントの試合をそれぞれ取材する予定でしたが、ヴェローナでの試合が日曜日の日中に変更となったため土曜日が手持ち無沙汰となってしまっていました。
そこで何もしないのはもったいないと思い調べてみると、入りのトレヴィーゾ空港から近いところで土曜日にセリエA女子の試合、しかも現在リーグ1位のイモッコ・バレー・コネリアーノというチームのホームゲームをやっていることがわかり日程に組み込みました。
出発当日の朝のワルシャワは大雪で辺り一面雪に覆われていました。
イタリアに行けばどうせ温かくなるだろうと思っていましたが、雪こそないものの案外そうでもなくイタリアも同じくらい寒かったです…。なんでや…。
トレヴィーゾ空港には午後2時ごろに到着。
とりあえず午後8時開始の試合まで時間があるのでトレヴィーゾの中心地に行ってブラブラします。
ちなみにトレヴィーゾ空港はヴェネツィアエリアのLCC専用空港で、ミラノでいうところのベルガモ空港、ワルシャワでいうところのモドリン空港みたいな役割を担っており、日本からの渡航で利用することはないと思いますが欧州間の移動では安くて便利です。
また高橋がいるパドヴァへもバスで1時間、わずか約5ユーロ(700円)で行き来できるのも魅力のひとつですね。
空港からトレヴィーソの中心街へもバスで10分ほどでたどり着くことができます。
中心街はコンパクトにまとまっていて多分半日もあればひととおり周ることができるでしょう。
そして夕方にトレヴィーゾ駅近くの宿へのチェックインを終えていざ会場へ向かいます。
会場まではバスで30分程度、試合開始の約1時間前に会場のパラブレードに到着。
外観はそれほど立派とは言えませんが、雰囲気はなんかいい感じでした。
建物内にも飲食物を売っている売店とチームグッズのショップがありました。
イモッコのユニフォームがカッコよくて一瞬買うか迷いましたが、これを着た自分を想像してやっぱりやめました(笑)。
アリーナ内部は男子の会場では見られないピンクのコートがとても印象的でした(セリエA女子会場のコートはすべてこの配色でやってるみたいです)。
席数も5000席以上あり、席とコートとの距離も近くてとても見やすいアリーナだと思いました。
ここでイモッコ・バレー・コネリアーノ(以下イモッコ)について簡単にご紹介。
イモッコは2012年に設立された比較的新しいチームながら、イタリアリーグ5回、コッパイタリア4回、欧州チャンピオンズリーグ1回、世界クラブ選手権2回の優勝経験を持つイタリア女子屈指の強豪チームです。
ホームタウンはコネリアーノという街ですが、アリーナの所在地はコネリアーノよりもトレヴィーゾに近いです(なぜかはわからない(笑))。
かつて日本の長岡望悠選手も2018年に所属していました(ただし怪我のためシーズン途中で帰国)。
今シーズンは現役世界最高オポジットであるハーク(スウェーデン)のほか、日本のVリーグで活躍したロビンソン(アメリカ、元トヨタ車体)やプラマー(アメリカ、元デンソー)、イタリア代表不動のリベロ・デジェンナーロなどのメンバーを揃えてリーグ首位を独走中です。
そんな強豪クラブのアリーナの上の方にはこれまでの獲得タイトルのペナントがずらり。
またギネス記録でもある公式戦76連勝記念のペナントもありました。
ちなみにチームの愛称は「パンテーレ」、イタリア語で黒豹という意味です。
つまり彼女たちはイタリアの「パンサーズ」です!(笑)
そんなこんなしているうちに選手入場。
普段は同性の男子選手ばかりみているからか、久々に間近で女子選手を見るのはちょっぴりドキッとしてしまいます(笑)
でもウォームアップから真剣に取り組むその表情は男子と変わらずかっこいいです。
この日のイモッコの対戦相手はヴァッレフォグリアというA1参戦2シーズン目のチーム。
元JTマーヴェラスのドルーズ(アメリカ)や元ロシア代表のコシェレワなどを擁していますが、今季ここまでは14チーム中10位と苦しんでいます。
リーグ前半の試合でもイモッコが3-0で勝利しているのでこの試合も早く終わりそうな予感です…(笑)。
試合開始が近づくにつれて席もどんどん埋まっていきました。
日本のVリーグでは比較的男子の試合は女性客率が、女子の試合の場合は男性客率がそれぞれ上がるようなイメージですが、イタリアは見た感じ男女で客層に大きな違いはないように感じました。
地元のチームを応援しているであろうおじさん、おばさん、お兄さん、お姉さん、そして子どもたちと老若男女問わず会場に足を運んでいました(強いて言えばおじさん率高いけどそれは男子も同じ)。
そんなこんなで試合が始まります。
第1セット序盤は競った展開が続きますが、その中でもやっぱりOPハークのスパイクとサーブがすごすぎてなんだか笑ってしまいました(笑)
身長196cm、最高到達点330cm、パンチ力も抜群でもうほとんど男子のようなスパイクです!!
少なくとも日本の高校男子だと普通に全国トップレベルだと思います。
男子の僕から見てもフォームからかっこいいのでずっと見ていられる。
試合開始早々でしたがこの選手のプレーを見られただけでも見に来たかいがあったと思わせてくれました。
しかしヴァッレフォグリアもOPドルーズやOHコシェレワがスパイクを決めて中盤からは12-16とリード。
OPハークの相手ブロック上からのスパイクで終盤に追いついてデュースになりますが、最後の最後でそのハークがブロックに捕まって25-27で第1セットはヴァッレフォグリアが選手。
このセットの間ずっと好調だったのに最後でスパイク失点した姿を見て、「最後まで取り切る力」について話してくれた石川のことばが少しよぎったりしました。
しかし2セット目以降のイモッコは生まれ変わったかのように王者のバレーを見せつけます。
2セット目は序盤からハークのスパイクだけじゃなくブロックでOHコシェレワを何度も止め、MBサラ(イタリア)の鋭いクイックなどで7-1と圧倒。
その後も堅いブロックディフェンスを前に苦しむヴァッレフォグリアに対してイモッコはいろんな選手が得点して25-18で2セット目を取ります。
3セットは初っ端からSヴォウォシュのツーから始まって7-4とイモッコペース。
中盤ヴァッレフォグリアがOPドルーズが決めまくって13-13と追いつきますが、そこからリリーフサーバーで入ったイモッコのMBフェデリカのハイブリッドサーブが火を噴き、4つのエースを含む6連続ブレイクで20-13と相手を絶望の淵に突き落とします。
昨日の試合はリリーフサーバーで出てたMBスクアルチーニのサーブもエゲツなかった。基本は高速ジャンプフローターだけどたまにスピンをかけるハイブリッド。昨日は横回転もかけたりして4連続くらいでエース取ってた。そして美人。彼氏はモンツァのリベロのフェデリチ。 pic.twitter.com/ktIWjF8EFw
— トシキ TOSHIKI (@toshikit71) January 22, 2023
このサーブは本当にエグかった。
基本的には彼女のサーブはジャンプフローターなんですけどかなりのスピードがありますし、それと同じフォームからドライブをかけたサーブも際どいコースに打ってましたからサーブレシーブする方は本当にキツいと思います。
1本はかなりサイドスピンかけて外に逃げるようなサーブも打ってたりして本当にやりたい放題(笑)。
打ってる方は楽しいだろうなと思いました。
またこのとき、おそらく招待客であろう地元のバレーボールクラブの子どもたちからのイモッココールがすごて、彼らのコールが自然と全体のコールとなって会場を包んでいました。
こういうのザ・ホームゲーム感が本当に好きです。
そんなこんなでこのセットも25-17でイモッコが取ります。
第4セットは序盤から、2セット目中盤以降やや温存ぎみだったOPハークに再びボールを集めてブロックの上からスパイクを決めまくり11-3と一気に試合を決めに行きます。
しかしヴァッレフォグリアも中盤にOPドルーズ中心に維持をみせて18-17と1点差まで詰め寄りますが、終盤またOPハークらにより引き離されて25-20でこのセットも取ったイモッコが3-1で勝利!!
1セット目はどうなるかと思いましたが、2セット目以降は女王のバレーを見せつけてくれました。
試合後は男子みたいにファンサービスするのかなと思ったら男子よりはちょっと控えめな感じで、人気選手で積極的にファンサービスしている選手はあまりいなかったかな…。
またこの会場はメディアであっても試合後コート内に入って選手にインタビューすることができなかったので、やりたかったOPハークへのインタビューは断念…。
キャプテンでポーランド人のSヴォウォシュにも僕の拙いポーランド語で話しかけてみたかったのですがそれも叶わず。
ただ昨シーズントヨタ車体でプレーし、現在僕が一緒にYouTubeチャンネルをやっているケントくんの元同僚のロビンソンとは一言二言お話できました(写真も撮ってもらったつもりでしたが、あとから確認するとシャッター押せてなくて撮れてませんでした(笑))。
でもやっぱり誰一人ちゃんとインタビューできなかったのは非常に悔やまれたので、またチャンスがあったら女子バレー取材リベンジをしたいと思います!!
女子バレーも面白いですし、特にイタリアは世界最高峰リーグのひとつだけあってプレーの迫力、会場の盛り上がりもすごくよかったのでよい発見・体験ができました。
ありがとうイモッコ・バレー!!!!!
帰りはバスがなかったので別のイタリア人記者の人にタクシーを呼んでもらいました。
トレヴィーゾの中心街まで25ユーロでこれは聞いていたとおりの値段でしたが、会場に迎えに来てくれた時点でメーターがすでに16ユーロまで回っていてビビりました(笑)。
会場近くにもホテルがあったんですが高かったんですよね。
トレヴィーゾ駅近くの宿の方がタクシー代を考えても安かったので今回はそちらを選択しましたが、いつかは迷わず高いホテルにも泊まれるようになりたいなと思ったトレヴィーゾの夜でした。
写真:筆者撮影、LEGA VOLLEY FEMMINILE