バレーボールやバスケットボールなど「高さ」がモノをいうスポーツにおいて、身長もさることながら、ジャンプ力が他のプレイヤーとの差をつける大きな武器になります。
しかし、ジャンプ力とは何なのか、何を鍛えればジャンプ力は上がるのかをいうことを、ちゃんと説明できる人はそう多くはないと思います。そこで今回は、このジャンプ力について簡単に解説していきたいと思います。なお、本文ではジャンプを垂直跳びに限定して扱うことします。
ジャンプ力とは何か
ジャンプ力とは跳躍力とも言われ、垂直跳びに限ると、一般的には垂直方向にどのくらい高く跳ぶことができるかを示す力であると解釈されているかと思います。また「どのくらい高く跳ぶ」ということは、自分の体を垂直方向にどれだけ押し上げられるかと言い換えることができます。つまり、ジャンプ力とは地面を足で押した(蹴った)ときの反発力(地面反力)で自分の重心を垂直方向に動かす力であるということができます(図)。
物体を動かす力 = パワー = 仕事率
物体を動かす力のことを力学用語でパワー(Power)と言います。日本語では仕事率と呼ばれます。
物理学では、仕事とは「物体に力を加えて動かす」ことを指します。力(Force)を加えても、物体が動かなければ仕事をしたことにはならないのです。
図のように、3の力を矢印の方向に加えながら、5の距離動かした場合、3×5で15の仕事をしたことになります。しかし、たとえ10の力を加えても、物体が動かなかった場合10×0で、仕事量は0。すなわち仕事をしなかったことになるのです。
仕事率(パワー)は時間当たりの仕事量
では次は「仕事率」について見ていきましょう。
仕事率とは、時間当たりの仕事量のことです。つまり、15の仕事を3秒で終えた場合、15÷3で、仕事率(パワー)は5となります。
式に表すと
力×距離÷時間=仕事率(パワー)
と、なることが分かります。
また、距離÷時間=速度…となるので
力×速度=パワー
という式が出来上がります。つまり、力が強くてもスピードが遅ければパワーは低くなってしまう。反対にスピードは速くても、力が弱ければパワーは上がらないということになります。
つまりパワーとは、力はもちろんスピードに比例するのです!
ジャンプ力 = 筋力 × 跳びだし時の初速度
この仕事率をジャンプ力に置き換えると、力とは筋力、速度とはジャンプ時のスピード、言い換えると跳びだし時の初速度と言うことができます。
ジャンプ力 = 筋力 × 跳びだし時の初速度
つまり、ジャンプ力は筋力だけではなく、跳びだし時の初速度も重要なんです。
速く跳べば高く跳べるんです!
また、ジャンプをする際に腕を振ったり、一度重心を沈みめたりするとジャンプの記録が伸びることがあります。実はこれらの動作も速く動かすための動作なのです。