イタリア男子バレーボールリーグセリエA、石川祐希所属ミラノはチヴィタノーヴァとのプレーオフ準決勝第5戦を現地時間4月25日(火)にアウェイで戦い、1-3(25-27, 22-25, 25-23, 25-27)で敗れました。
石川祐希はこの試合スタメンで出場し、チーム最多の20得点の活躍でした。
第1セットスタメン
ミラノ
OH:メルガレホ(キューバ)、石川
MB:ロセル(アルゼンチン)、ピアノ(イタリア)
OP:パトリィ(フランス)
S:ポッロ(イタリア)
L:ペサレージ(イタリア)
チヴィタノーヴァ
OH:ニコロフ(ブルガリア)、ヤント(キューバ)
MB:シネニエゼ(フランス)、アンザーニ(イタリア)
OP:ザイツェフ(イタリア)
S:デチェッコ(アルゼンチン)
L:バラーゾ(イタリア)
※ポジション:OH=アウトサイドヒッター、MB=ミドルブロッカー、OP=オポジット、S=セッター、L=リベロ
この試合のスタッツはこちら
試合レポート
第1セット、序盤からザイツェフのサービスエースやニコロフのスパイクなどで3-7とチヴィタノーヴァがリードしますが、直後に連続でアタックミスが出るなどして8-7とミラノが逆転します。
しかし中盤にヤントのブロックやシネニエゼのスパイクで13-16と再びチヴィタノーヴァがリードを奪うと、ヤントのスパイクなどでそのリードを保って21-23と終盤を迎えます。
ミラノも石川のスパイクでブレイクを決めて23-23と同点に追いつきそのままデュースに持ち込みますが、最後はニコロフのブロックが決まり25-27でこのセットをチヴィタノーヴァが取ります。
第2セット、ミラノがパトリィやロセルなどのスパイクでサイドアウトを重ねるも、サーブミスが多くなかなかブレイクチャンスを得られず9-9と競ったまま試合が進みます。
しかしヤントのスパイクなどでブレイクを決めたチヴィタノーヴァが9-12と抜け出すと、さらにザイツェフのスパイクで12-16と点差を広げます。
終盤に石川のスパイクとサービスエースでミラノが連続得点をあげて20-21と1点差まで迫りますが、最後はシネニエゼのスパイクが決まって22-25でこのセットもチヴィタノーヴァが取ります。
第3セット、序盤は両チームともロセルやシネニエゼなどミドルを中心に得点を重ねて8-8と競った展開を見せます。
その後パトリィのスパイクやサーブなどでミラノが3連続ブレイクに成功して12-8と一気にリード。
対するチヴィタノーヴァもアンザーニとザイツェフのブロックでブレイクを決めて15-14と1点差まで詰め寄ります。
しかしそこからは石川やメルガレホのスパイクを中心にミラノが確実にサイドアウトを取って相手にブレイクを許さず、最後もザイツェフのサーブがミスになり25-23でこのセットをミラノが取り返します。
第4セット、序盤からヤントのスパイクなどで1-4とチヴィタノーヴァがリードすると、さらにヤントの2連続エースも決まり5-10とリードを広げます。
ミラノもロセルのサービスエースやメルガレホのスパイクでブレイクをして14-16と2点差まで迫りますが、ザイツェフの連続スパイクで15-19と再度点差を広げられてしまいます。
しかしそこからミラノが石川のブロックやポッロのサービスエース、さらにそのポッロのサーブから石川のスパイクが決まり終盤で21-21と同点に追いつきます。
その後はサイドアウトの奪い合いとなりデュースに突入しますが、最後はニコロフのサーブがエンドラインいっぱいに決まり、25-27でこのセットをチヴィタノーヴァが取ります。
この結果ミラノは1-3でチヴィタノーヴァに敗れました。
MVP:OHアレクサンダル・ニコロフ(21得点(うちサーブ2、ブロック1)、アタック決定率45%、サーブレシーブ成功率33%)
石川祐希はチーム最多の20得点(うちサーブ1、ブロック2)、アタック決定率53%、サーブレシーブ成功率67%)の活躍でした。
これでミラノは準決勝通算成績を2勝3敗として準決勝敗退となり、3位決定戦に進むことになりました。
プレーオフ3位決定戦第1戦は現地時間4月29日(土)20:30(日本時間翌3:30)からアウェイのピアチェンツァで行われます。
試合の感想など
ミラノ敗れる…。
やはり第4戦の逆転勝ちの勢いと、満席のホームアリーナのお客さんの声援を受けたチヴィタノーヴァが第1セットから好スタートを切った一方、ミラノはなかなか自分たちの流れを作ることができず、全体的に苦しい時間帯がとても多い試合でした。
そんななかでも我らが石川大先生とロセルの2人は試合全体を通して好調を維持し、3セット目奪取はもちろん、4セット目の15-19からのあわや逆転かと夢を見せてくれた展開にはできなかったでしょう。
石川は攻守で安定感抜群。
この日はここぞの場面でしっかりと得点を決めてくれていました。
欲を言えばサーブにもう少し当たりがほしかったですが、十分にチームを支えていたと思います。
ロセルはスパイクではミドルなのに12得点でアタック決定率71%。
サーブでは4セット目に何度もブレイクポイントを演出しました。
4セット目は正直序盤で5-10と5点リードされた場面でほとんど負けを覚悟し、さらに15-19と20点代に入ろうとするところでまだ4点差がついた場面で「もう終わった」と本気で思っていました。
しかしそこから21-21までの追い上げは本当にまさかのまさかで大興奮の展開でしたし、その後もサイドアウトを取って行っているときも本当にしびれっぱなしでした。
だからこそあそこの一本、23-23の場面でのピアノのスパイクミスは本当に悔やまれます。
フリーボールからスパイカー4人が誰でも行けるような状況、チヴィタノーヴァとしては石川かメルガレホかという選択が脳裏をよぎるところにミラノのセッターポッロはピアノを選択。
ピアノはそれまでアタック決定率が70%を超えていましたし、実際に相手ブロッカーはこの攻撃に対し1人も反応できていなかったので、選択としてはベストチョイスだったことは間違いないのですが、ボールをふかしたような明らかなアウトのミスとなってしまいました。
おそらくピアノが力んでしまい、手がボールにミートしなかったのだと思いますが、あの場面はシチュエーション的にも点数的にも確実に1点決めなければならない場面だっただけに本当に残念でした。
あそこで点がとれていたらこの試合はどうなったかわからなかったと思います。
ただ一番悔しいのはピアノ本人ですよね。
次の3位決定戦は4日後の29日(現地時間)と時間がないので、なんとかうまく気持ちを切り替えてほしいなと思います。
ピアノなら引きずらないと信じてはいますが。
注目のパトリィはといえば、サービスエースも決めるなど数字上のパフォーマンスは悪くはなかったと思いますが、特に試合序盤にかぶり気味にスパイクを打つことが多く身体の状態が心配です。
また第4戦からケガで欠場しているエバディプールも早く回復してくれることを願います。
3位決定戦のピアチェンツァはジャンプサーブが強いチームなので、きっと彼の力も必要になってくるでしょう。
しかしルーベはこれでコロナでキャンセルされたシーズンを除いて6季連続での決勝進出。
特に今季からは大黒柱だったユアントレーナが抜けて若手中心となり、シーズン序盤にはパドヴァに敗れるなどベスト4すら危ういような雰囲気でしたが、気づけば例年通りの強いチームになっていました。
ルーベは途中に毎回なんだかんだありながらも、最終的には決勝にあがってくるので本当にプレーオフに強いというか、そこにしっかりとピーキングができているんだなと毎回驚かされます。
これもブレンジーニ監督の手腕なんでしょうかね(タイムアウトのときは選手に話聞いてもらえてないけど(笑))
さてミラノ。
前回1度は掴みかけた決勝への切符。
今回は掴みかけることさえもさせてもらえずあえなく撃沈。
しかし、まだ今シーズンのミラノの旅は終わりません。
3位決定戦、勝てば来季の欧州チャンピオンズリーグの出場権を獲得できます。
まだまだ最後まで応援していきましょう。
写真:LegaPallavoloSerieA