試合レポート

【解説】パリ五輪女子バレー日本対ブラジル:アタック決まらず、サーブも走らず、ベンチも機能せず打つ手なし

2024年8月2日

パリ五輪予選プールB、バレーボール日本代表は現地時間8月1日(木)にブラジルと対戦し0-3(20-25, 17-25, 18-25)で敗れた。

スターティングメンバー

ポジション:OH=アウトサイドヒッター、MB=ミドルブロッカー、OP=オポジット、S=セッター、L=リベロ

カッコ内は得点

日本

OH:古賀(10)、石川(1)
MB:山田(5)、宮部(1)
OP:和田(5)
S:岩崎
L:小島、福留

途中出場:OP林(5)、MB荒木(1)、OH井上(9)、S関

ブラジル

OH:ガビ(17)、アナクリスティナ(15)
MB:タイーザ(6)、キャロル(8)
OP:ロザマリア(9)
S:ロベルタ(2)
L:ニエメ

途中出場:OPタイラナ(2)、Sマクリス

試合レポート

第1セット

序盤、日本はOP和田のスパイクやMB山田のサービスエースなどで得点を重ね10-8とリードする。そこからMBキャロルのブロックなどで10-11とブラジルが逆転するが、OH古賀のスパイクやブロックで14-13とまた日本が一歩前に出る。しかし日本にアタックミスが続き、さらにOHガビのスパイクやSロベルタのサービスエースなどで16-19とブラジルが再びリードを広げる。終盤でもOHガビのスパイクなどでブラジルが連続得点を挙げると最後はOH古賀がブロックに捕まり20-25でこのセットをブラジルが取る。

第2セット

日本はOH石川とOP和田に代えてOH井上とOP林をスタートから起用。しかしブラジルがOPロザマリアのサーブからOHアナクリスティナが続けてスパイクを決めて4連続ブレイクをし、4−8と大きくリードする。その後もOPロザマリアのスパイクやOHガビのブロックなどでブラジルが連続得点を挙げて9-15とリードを広げる。日本は自分たちのアタックで点が取れずブラジルのミスでなんとか得点するも、さらに終盤にOHガビのスパイクやSロベルタのサービスエースで得点を重ねたブラジルが17-25でこのセットを取る。

第3セット

日本はMB宮部に代えてMB荒木をスタートから起用。序盤はOH古賀のスパイクが続けて決まり3-2と日本が一歩前に出る。そこからOH井上のスパイクも続けて決まって8-8と競った展開となるが、そこからOHアナクリスティナのスパイクやMBキャロルのブロックなどで9-13とブラジルが抜け出す。その後もブラジルがサービスエースやブロックでブレイクを重ねて14-21と点差をさらに広げる。終盤にOH古賀のサービスエースが出るも、最後はOHアナクリスティナがスパイクを決めて18-25でこのセットもブラジルが危なげなく取る。

この結果日本は0-3でブラジルに敗れた。

TOSHIKI’S MVP

ブラジル:MBキャロル

8得点(うちブロック4、サーブ1)、アタック効果率40.00%

アタックの打数は多くなかったが、ブロック得点4本に加えてブロックタッチ14本とって日本のアタックを決めさせなかった。彼女のブロックで日本のアタック効果率を大きく下げたのがブラジルの勝利に大きく繋がった。

また対格のMBタイーザ、Lニエメも含めブラジルのディフェンスが光る試合であった。

日本:L小島満菜美

サーブレシーブ効果率60.00%、 ディグ9本成功

チームが劣勢な状況でも安定したプレーと声でチームを支えたリベロ。ラリー中のジャンプセットもよかった。

解説

1セット目途中までを除いて、日本のやりたいことをほとんどさせて貰えない、完敗とも言える試合だった。

1セット目はOP和田のスパイクがよく決まっていた。しかし、2セット目は調子のよくなかったOH石川をOH井上に代えるため(?)にOP和田もOP林に代えられて、結果的に状況が改善されずにOP和田だけコートに戻るも時すでに遅し。

3セット目は序盤こそ日本のOH古賀とOH井上のサイド攻撃がよく決まっていたが、その後ブラジルのブロックにタッチやシャットを喰らってサイドアウトを取れなくなり、徐々に点差を離されてゲームセットとなった。

日本は本当に1セット目途中まではよく戦えていた。

確かにOH石川とOH古賀はアタックの数字がイマイチ上がらなかったが、OP和田を中心にサイドアウトを上手く取れていたし、サーブもOHアナクリスティナを狙って一定の効果を出せていた。

しかしなぜかOP和田とS岩﨑に代えてOP林とS関を投入するという、いわゆる「2枚替え」が行われたのだが、この意図がよくわからなかった。

本来2枚替えは、攻撃枚数を確保するもしくはブロックを高くするために行われるものだが、あの状況であればOP和田はバックアタックがあるので後衛でも攻撃参加できるし、S岩崎はOP林より高さがあるのでむしろブロックを弱くしていた。

そして結果的にこの2枚替えをしている3ローテーションの間にブラジルに計3回のブレイクを許して逆転され、そのままセットを失った。

さらに2セット目も上手くいっていた1セット目と同じスタメンで良いところをOP和田とOH石川に代えてなぜかOP林とOH井上が投入され、結果的に状況はさらに悪くなってしまった。なぜかサーブも守備が得意なOHガビの方に打つようになり、ブラジルに楽な状況を作ってしまってもいた。

サーブはこのチームの生命線で、サーブが機能しなければ強豪には勝てないというのにブラジルに対してなんらサーブでプレッシャーをかけられていなかった。

結論、①アタックが決められなかった(相手のブロックディフェンスに対応できなかった)こと、②サーブが機能しなかったこと、③ベンチワークが上手くいかなかったことの3点がこの試合の大きな敗因であった。

特に③について、日本は途中から何がしたかったのか本当にわからなかった。タイムアウト中にもベンチから具体的に指示が出ているようには見受けられなかった。

ブラジルは確かにいいバレーボールをしていたと思うが、特にブラジルがよかったというよりは日本がやるべきことをやっていなかったように見えて仕方ない。

勝敗に関わらず、このような内容の試合になってしまって非常に残念である。ネーションズリーグ準決勝でブラジルとのフルセットの激闘を制した日本代表はどこにいったのか。

今回の敗戦で日本の準々決勝進出の可能性は限りなく小さくなり、プールCのオランダ対ドミニカがフルセットになった場合にのみ出場の可能性が残る。もちろんその後のケニアに3-0で勝つことが条件ではあるが。

ただオランダ対ドミニカがフルセットになるという都合のよいことはそう簡単には起こらないから、個人的にはほぼ予選敗退が決まったと思っている。

ただそうであってもそうでなくても最後のケニア戦ではしっかりと日本らしいバレーボールを見せてほしいと思う。

プールB順位表(8月1日終了時点)

1位 ブラジル★ 2勝0敗 6ポイント 6/0
2位 ポーランド★ 2勝0敗 6ポイント 6/1
3位 日本 0勝2敗 0ポイント 1/6
4位 ケニア 0勝2敗 0ポイント 0/6

★準々決勝進出確定

次戦情報

予選プールB ケニア戦

8月3日(土)20:00~(日本時間)

テレビ

フジテレビ系列:19:52〜

ネット配信

TVer

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[配信日時]

7月27日(土)午後5時 男子#1 男子#2
8月 3日(土)午後5時 女子#1
8月10日(土)午後5時 女子#2
8月24日(土)午後5時 男子#3
8月31日(土)午後5時 女子#3
9月 7日(土)午後5時 男子#4
9月14日(土)午後5時 女子#4

(TBSテレビリリースより引用)

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写真:Volleyball World

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