今季イタリアセリエAでプレーする日本人男女6選手の中で唯一目立った活躍が見られなかった、チステルナ所属のアウトサイドヒッター垂水優芽がついにその実力を開花させた。
現地時間1月18日に行われたスーパーレガ後半6節パドヴァ戦、1セット目を21-25で奪われたチステルナは2セット目のスタートでもOHオリオリオのサーブに苦しみパドヴァに1-4と先行される。そこでサーブレシーブで苦しんだOHバイラムに代わってOH垂水がコートイン。
OH垂水は後衛での役割をしっかり果たすと、前衛では名前のとおりユウガなジャンプからスパイクとブロックでブレイクポイントを取って9-8と逆転。さらにサーブでは相手を崩して連続ブレイクに貢献。12点目は強烈なバックアタックで相手レシーバーを弾き飛ばした。その後MBネデリコヴィッチとSバラノヴィッチのブロックによる助けもあり、25-22でチステルナが2セット目を奪取。OH垂水はこのセットだけで5得点。
3セット目も出だしこそパドヴァが2-4と先行したが、パドヴァのミスが続いたのちOH垂水のブロックから8-6とチステルナが抜け出す。さらに中盤でOPフォールのサーブからの5連続ブレイクで21-12とチステルナが大きく点差を広げると、最後はOH垂水が冷静に決め切り25-17でチステルナが続けて取る。
4セット目は序盤からパドヴァのサーブにやられて大きくリードを許し17-25で落として試合はフルセットとなる。
運命の第5セット。出だしからパドヴァのミス、MBネデリコヴィッチのブロック、さらにOH垂水のスパイクで3-0とチステルナが先行すると、そのまま8-2で折り返す。その後も堅実にサイドアウトを重ねるチステルナに対し、ミスが目立つパドヴァはブレイクを重ねられず。最後はOH垂水が渾身のサーブでエースを決めて15-8でこのセットを取ったチステルナが3-2でパドヴァに勝利。
チステルナは6試合ぶりの勝利だった。
垂水優芽は4セット出場してチーム2位タイの13得点(うちサーブ1、ブロック2)、アタック効果率38%、サーブレシーブ成功率50%の堂々のパフォーマンスを見せた。数字に表れないところでの貢献度も大きかったと思う。間違いないくこの日のゲームチェンジャーであり、試合のキーマンだった。
ここまでの垂水は途中出場で試合に出る機会が何度かあったが、その場面で思うようなプレーができず、最近はシーズン序盤に比べると途中出場の機会も減っていた。正直シーズン終了までに彼のいいパフォーマンスが見られないのではないかと思っていたが、そんな筆者の心配も跳ね除けて、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。めちゃくちゃ嬉しい。
この試合のMVPでアナウンスされたのはMBマッゾーネだったが、今日のMVPはお前だと言わんばかりにそれを垂水に譲った。結局インタビューを受けたのはマッゾーネだったが、そのインタビューの中でも「ユウガの活躍がとても嬉しかった。彼は自分の居場所をしっかり掴んだ」とチームメイトの勇姿を讃えた。
マッゾーネだけではない。垂水がサービスエースで試合を決めた後、OHバイラムはベンチから飛び出して彼を担ぎ上げ、その後皆が垂水をワチャワチャ叩いて祝福していた。MVP受賞もマッゾーネだけでなくチームメイト全員の総意のようだった。
垂水本人だけでなく、チームメイトも垂水がどれくらいできる選手なのかを知っていただけに、彼が実際の試合でなかなか実力を発揮できない状況を心配していたのかもしれない。だからこそチームメイトも垂水の活躍を自分のことのように嬉しがってくれたのだと思う。
やはり日本人選手が外国のチームで、外国人のチームメイトに愛されている姿を見るのは嬉しいし、心にグッとくるものがある。そしてこの活躍でチステルナは垂水に取っての本当の居場所になったのかもしれない。
また奇しくも今節はミラノの大塚達宣もMVPを初受賞し、洛南カルテットコンビの初MVPダブル受賞となった。
やっとイタリアの地で殻を破り本領発揮した垂水優芽。彼のイタリアリーグはここからだ!がんばれ!!
チステルナ - パドヴァ
3-2 (25-21, 22-25, 17-25, 25-17, 8-15)
詳しいスタッツ↓
https://www.legavolley.it/match/38304
Photo: cisternavolley.it