現地時間1月25日(土)、イタリアバレーボール界の2大タイトルのひとつであるコッパイタリア、その男子の準決勝が行われた。連覇を狙う石川祐希所属のペルージャは、初のコッパイタリア準決勝進出を果たしたヴェローナと対戦し、2-3 (25-22, 28-26, 14-25, 19-25, 12-15)で敗れ3位で今大会を終えた。
1セット目はヴェローナにミスが多く出る一方で、ペルージャはOPエレラやOH石川を初め多彩な攻撃で子得点し、終始リードする展開で25-22と先取。2セット目はOHモジッチが得点を量産するなどしてヴェローナが終盤までリードを保っていたが、途中出場のOPベンタラのサービスエースから同点に追いつき土壇場デュースに持ち込む。最後はOH石川がスパイクを決めきって28-26でこのセットもペルージャが取り切り、2-0で決勝進出に王手とする。
しかし3セット目は序盤からヴェローナがOHモジッチを中心に得点を重ねてペルージャを大きく突き放す。逆にペルージャはアタックがなかなか決まらず、OPベンタラを再び投入するもヴェローナの勢いが止まらない。最終的にヴェローナがこのセットを14-25と大きくリードして奪い返す。
さらに4セット目もヴェローナの勢いは止まらず、今度はOHケイタがスパイクとサーブで得点を量産したほか、途中出場のMBヴィテッリもブロックとサーブでチームに貢献。ペルージャはOPベンタラを中心に得点するも、ヴェローナのサーブとブロックに苦しみ19-25でヴェローナがフルセットに持ち込む。
5セット目もOHモジッチのエースで3-5とヴェローナが先に抜け出す。その後ペルージャはOH石川やMBルッソのスパイクなどで得点するも、ヴェローナはレセプションで耐え、OHケイタの高さのあるスパイクを中心に着実にサイドアウトを重ねてペルージャにブレイクを許さなかった。そのまま最後はMBジンゲルのブロックで12-15とし、ヴェローナが逆転でペルージャに勝利して決勝戦に駒を進めた。
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https://www.legavolley.it/match/38951

石川祐希はこの試合スタメンで出場し、チーム最多の15得点だった。しかしアタック失点が9点(ミス3点、被ブロック6点)でアタック効果率15%と攻撃面で精彩を欠いた。
また石川の対角のOHセメニウクもサーブレシーブで7失点、アタック効果率10%本来の実力を考えると厳しいパフォーマンスであったと言わざるを得ない。これまでならこういう時にベンチからOHプロトニツキを投入して流れを変えていたが、怪我明けの彼がこの試合でコートに立つことはできなかった。
加えてこの日のペルージャは本来チームの武器であるサーブが低調であった。ここまでリーグで1セットあたり平均2本以上のサービスエースを決めていたペルージャだったが、この試合では5セットで僅か2本に留まった(ヴェローナは9本)。しかもこの日のヴェローナはレセプションの要であったOHシャボロノクの怪我で欠き、決してレセプションが得意ではないOHモジッチとOHケイタがレセプションを担っていたにも関わらずである。
逆にヴェローナがペルージャにエースを取らせなかったことは大きな勝因のひとつだったと言える。特にOHケイタがサーブレシーブで狙われ続けたにも関わらず5セットで失点ゼロだったことは大きかった。
またブロックポイントでも両者には大きな差があり、5セットでペルージャはわずか4本(しかも3セット目以降はゼロ)だったのに対し、ヴェローナは14本ものブロックポイントを決めた。特にSアバエフがひとりで5本ものブロックポイントをあげており、ペルージャのレフト攻撃が上手く封じ込まれていたのがよくわかる。
もちろんヴェローナはOHケイタとOHモジッチの2枚看板の得点力が凄まじかったことも大きな勝因だった。OHケイタが30得点(うちサーブ3、ブロック1)、OHモジッチが28得点(うちサーブ2、ブロック4)と2人で自力得点の約3分の2をたたき出した。特にモジッチは39本のアタックを打ってわずか1失点の効果率54%と止まらなかった。

オポジットがチームのベストスコアラーになりやすいトップカテゴリーでこれほどレフト攻撃に偏る試合はなかなか見られない。この日のヴェローナの配球はなんだか高校バレーを見ているようだった(笑)。それでもこの試合はそれがベストな選択だった。
また2セット連取されても、特に2セット目に悔しい取られ方をされても集中力を切らさずプレーし続けたヴェローナメンバーのメンタルに敬意を表したい。
ヴェローナは初のコッパイタリア決勝進出、一方のペルージャはコッパイタリア連覇を逃した。また石川個人としてはミラノ時代から4年連続でのコッパイタリア準決勝敗退となった。特に今年は絶対王者のペルージャとして挑んでの準決勝敗退となってしまったので、チャレンジャーだったミラノ時代よりもいっそう悔しさをにじませたに違いない。
しかしまだ国内リーグとチャンピオンズリーグが残っている。OHプロトニツキの復帰もそう遠くはないだろう。ここから切り替えて、残るタイトルに全力を注いでもらいたい。
なお決勝戦はチヴィタノーヴァがヴェローナを3-2 (26-24, 25-15, 23-25, 21-25, 15-10)で下して2021年以来4大会ぶり8度目の優勝を飾った。
ちなみにチヴィタノーヴァは2022年から準々決勝でミラノ、ミラノ、モンツァと3年連続で日本人のいるチームにファイナル4進出を阻まれ続け、その日本人の呪縛からようやく解放されての久しぶりの優勝だった(笑)。
Photo: volleyballworld.com