イタリアリーグに遅れること3週間、もうひとつのバレーボール世界最高峰リーグとされるポーランド男子のプルスリーガでもプレーオフシーズンが始まった。
イタリアリーグ同様にレギュラーシーズン上位8チームで争われる。すべてホーム&アウェイ方式で、準々決勝と準決勝は先に2勝、決勝と3位決定戦のみ先に3勝したチームが勝利となる。
今季のプレーオフの組み合わせは以下のとおり。
ヤストシェンブスキ(1位) - チェンストホヴァ(8位)
ルブリン(4位)- ケンジェジンコジレ(5位)
ワルシャワ(2位) - ベウハトゥフ(7位)
ザビエルチェ(3位) - ジェシュフ(6位)
2日目の3月29日(土)にまず行われたのがザビエルチェ対ジェシュフの試合。
3位のザビエルチェはかつて古賀太一郎(現東京GB)が所属していたクラブ。今季の特徴はなんといっても強力なサーブ。1セットあたりのチームエース本数1.95本はリーグトップで、個人サーブランキング2位のOPブトリンを筆頭にスタメンの6人全員がコンスタントにエースを取れる。またOHクフォレクとアメリカ代表OHラッセルらサイド陣の得点の引き出しが多く安定している。
6位のジェシュフはレギュラーシーズン後半から調子を上げてきたチーム。ブロックが強みでセット平均2.5本のブロックポイントはリーグトップ。個人でもMBヴォフとMBクウォスの両ミドルがブロックランキング10位以内に入っている。得点面ではフランス代表のOPボワイエがチームを引っ張る。
第1セット、序盤はOHチェブリのサービスエースなどで3-6とジェシュフがリード。しかし中盤にMBビエニエクのサーブからエースやOHクフォレクのスパイクで16-14とザビエルチェが逆転。その後終盤でもOHクフォレクのサーブなどで23-19と点差を広げると、最後はMBグラディルのクイックが決まり25-21でザビエルチェが先取。
第2セットは序盤でジェシュフにミスが続いて4-1とザビエルチェが先行。更にMBビエニエクの連続エースやOHクフォレクのスパイクで10-5と点差を広げる。その後ジェシュフもOHチェブリのアタックなどで喰らいつくも、終盤でSタヴァレスのサーブからエースやOPブトリンのスパイクでザビエルチェが連続得点を決めて23-15と突き放す。最後はOHラッセルが決めて25-18でこのセットもザビエルチェ。
第3セット、序盤は強力なサーブからの切り返しでブレイクを重ねたザビエルチェが7-4とリード。しかしザビエルチェのミスやMBクウォスのブロックで9-11とジェシュフが逆転する。その後ザビエルチェがサーブを起点に何度か同点に追いつくも、SロプレトのブロックやOHチェブリのスパイクでジェシュフが逆転を許さず、更にMBヴォフのサーブから連続ブレイクを決めて18-21とする。終盤でもSロプレトのブロックが決まり、21-25でジェシュフがセットを取り返す。
第4セット、OHクフォレクのサーブからジェシュフにミスが重なりザビエルチェが10-5とリード。そこからOHチェブリのアタックなどで11-10とジェシュフがすぐに点差を縮めると、そこからはサイドアウトの応酬が続き19-17となる。しかしOHラッセルの強力なサーブからザビエルチェが連続ブレイクに成功し21-17と抜け出す。そのまま最後はOPブトリンがOPボワイエをブロックで止めて25-21でこのセットを取り切ったザビエルチェが3-1で勝利した。
ザビエルチェ - ジェシュフ
3-1 (25-21, 25-18, 21-25, 25-21)
スタッツ
試合はまさにザビエルチェのサーブ対ジェシュフのブロックとなったが、今回はザビエルチェのサーブに軍配が上がった。
エースの本数こそ6本とチームの平均値からするとやや控えめだったが、何度もジェシュフのサーブレシーブを崩してブレイクに繋げた。MBビエニエクが最多3本のエースを決め、MVPも獲得したOHクフォレクがブレイクチャンスで何度も得点を決めた。またザビエルチェはOHクフォレクが最多17得点、次いでOHラッセルが16得点、OPブトリンが15得点とサイド3人がバランスよく得点を重ねた。

一方のジェシュフは9本のブロックポイントで応戦したが、ザビエルチェのサーブとディフェンスをなかなか攻略できず苦しんだ。その中でもOHチェブリが18得点、アタック効果率50%、2エース、1ブロックと素晴らしいパフォーマンスを見せたが、他のアタッカーの決定率が上がらなかった。OHベドノシュがプレーしていれば状況は変わったかもしれないが、ジェシュフは4日後にCEVカップ決勝も控えているので、怪我明けの彼にあまり無理はさせられなかったのだろう。
ただOHベドノシュが帰ってきたとしても、依然優勢なのはザビエルチェ。しかしアナスタージ氏(元ピアチェンツァなど監督)もインタビューで答えていたように、プレーオフで一番サプライズを起こす可能性を秘めているのはジェシュフである。
