イタリア男子バレーボールリーグセリエA第8節、髙橋藍所属のパドヴァは現地時間11月21日(月)にアウェイでヴェローナと対戦し、0-3(21-25, 17-25, 21-25)のストレートで敗れました。
髙橋藍は今シーズン初めてのベンチスタートでしたが、途中出場から2得点をあげました。
第1セットスタメン
パドヴァ
OH:デスメット(ベルギー)、アスパルホフ(ブルガリア)
MB:ヴォルパト(イタリア)、クロサート(イタリア)
OP:ペトコヴィッチ(セルビア)
S:サイッタ(イタリア)
L:ツェンガー(ドイツ)
ヴェローナ
OH:ケイタ(マリ)、モジッチ(スロベニア)
MB:コルテシア(イタリア)、グロズダノフ(ブルガリア)
OP:サポジュコフ(ロシア)
S:スピリト(イタリア)
L:ガッギーニ(イタリア)
※ポジション:OH=アウトサイドヒッター、MB=ミドルブロッカー、OP=オポジット、S=セッター、L=リベロ
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試合レポート
この試合パドヴァは、ヴェローナのOPサポジュコフ(220cm)とのマッチアップを考慮して髙橋をベンチスタートに。
第1セット、序盤からこの試合スタメン抜擢のOHデスメットが躍動し、スパイクにブロック、サービスエースを次々と決めて8-5とスタートダッシュに成功します。
パドヴァはヴェローナのOHケイタをサーブで徹底的に狙い、その作戦が効果を上げているように見えました。
しかしある程度パスが返れば、ヴェローナのOPサポジュコフ、OHケイタ、OHモジッチと全員が最高到達点370cm以上あるんじゃないかという高さのある3人のサイド陣が高い決定力でスパイクを決めていきます。
それでもパドヴァはなんとか相手のサーブターゲットとなっていたOHアスパルホフが耐えてOPペトコヴィッチやデスメットのスパイクで14-11とリードを保ちます。
しかしヴェローナがMBコルテシアのサーブからエースを含む3連続得点で14-14とすると、さらにサポジュコフのサーブからアスパルホフ、そしてリベロのツェンガーも崩されて、サービスエース2本を含む5連続得点で18-23と一気に逆転。
パドヴァもすかさずアスパルホフに代えて髙橋藍を投入してサーブレシーブの安定を図りますが時すでに遅し。
ヴェローナのセットポイントの場面でリリーフサーバーで入ったガルディーニがエースで一矢報いるも、2本目がミスになって21-25で第1セットをヴェローナが取ります。
第2セット、今度は序盤からケイタのサーブがパドヴァコートを襲い、エース2本を含む5連続得点で2-5とヴェローナがリード。
途中MBクロサートのサーブでパドヴァが連続ブレイクに成功し8-7と一時逆転するも、再びケイタにサーブが回ると、またもや2つのエースを決めるなどして11-14とすぐにヴェローナが再度リードします(この直前にアスパルホフに代わって髙橋が投入されていましたが、サーブレシーブをまったくさせてもらえず)。
その後もMBグロズダノフにもこのセットチームで5本目となるエースが出て12-17と更にヴェローナがリードを広げ、パドヴァもペトコヴィッチのスパイクなどで得点を奪いつつ反撃の機会を伺いますが、ケイタがサーブレシーブで耐えてブレイクを許しませんでした。
そしてそのまま最後はMBグロズダノフのクイックが決まったヴェローナが17-25でこのセットも取ります。
第3セット、あとがないパドヴァはスタートから髙橋を起用。
しかし今度はセッタースピリトがOHアスパルホフとリベロのツェンガーの間を通すサーブでエースを奪うなどして0-3とヴェローナがスタートダッシュに成功します。
更に続くグロズダノフのサーブにもアスパルホフが崩されて連続ブレイクを奪われて3-7となると、パドヴァは彼に代えてデスメットをコートに送ります。
この後はペトコヴィッチのスパイクなどでコンスタントにサイドアウトを取って10-12と食らいつきますが、そこからグロズダノフ、サポジュコフのエースで12-20とヴェローナが点差を大きく広げます。
しかしパドヴァもこのままでは終わりませんでした。
髙橋が通過点を高くした脚の長いスパイクをストレートに決めると、途中出場のMBカネッラのエースが決まり14-20となり、続くペトコヴィッチにも2連続エースが出て17-21とパドヴァが点差を縮めます。
タイムアウト明けにヴェローナのセッタースピリトが髙橋のブロックを利用した技ありのツーフェイントでサイドアウトを取りますが、パドヴァのサイッタもアタックライン付近からクイック得点をアシストするプレーで魅せます。
そして髙橋藍のサーブ。
パドヴァサポーターから「がんばれ」コールが鳴るなか好サーブを連発し、返ったボールをペトコヴィッチが確実に得点にして2連続ブレイクに成功し20-22と2点差まで詰めます。
このまま並ぶかと思われましたが、パドヴァの反撃はここまで。
ヴェローナのOHケイタとOPサポジュコフの高さのある攻撃を最後に防ぐことができず、21-25でこのセットも失ったパドヴァはヴェローナに今季初のストレート負けを喫しました。
MVP:ルカ・スピリト(セッター)
髙橋はこの試合2得点、アタック決定率40%でした。
これでパドヴァは通算3勝4敗6ポイントで暫定10位。
次週は現地時間11月27日(日)20:30(日本時間翌4:30)から、ホームでモンツァと対戦します。
感想など
この試合は現地観戦・取材しました。
この日のヴェローナは寒かったですが、1800人を超えるお客さんがアリーナに詰めかけていました。
もちろんパドヴァサポーターの姿もあり。
ウォームアップ時の髙橋は時折手をこすり合わせていてなんだか寒そうでした。
高さのあるヴェローナに対してパドヴァがどう対応するか見ものでしたが、スタメンになんと髙橋がいない!
おそらくパドヴァのクッティーニ監督、サーブレシーブの安定よりも相手のライト攻撃に対するブロックの高さを優先してきたようですね。
個人的にはスタートから髙橋を見たかったのですが、まあよい、どうせこのスタメンではサーブレシーブボロボロだろうから後から絶対出るだろう(笑)。
そしてこの予感は見事に的中。
確かに第1セット序盤はサーブレシーブで耐えられてましたし、OHのアスパルホフとデスメットが相手サイドスパイクに対してブロックを決めることができていて一瞬「パドヴァいいじゃん!」と思いましたが、一度サーブレシーブが崩れちゃうとその後はボロボロと…。
3セットで11点、第2セットだけで5点もエース取られちゃいましたからね…。
しかも特定のサーバーというよりモジッチ以外の5人全員にエースを取られているから間違いなくレシーバー側の問題。
先週のミラノ戦も序盤はアスパルホフも耐えられてたんですが、1試合を通して安定したサーブレシーブを維持することがなかなかに難しい。
リベロのツェンガーも成功率こそ高いですが、直接失点が多いのが気になります。
やはり髙橋を今入っている5番ポジション(オポジットの隣のOH)から2番ポジション(セッターの隣のOH)にして少しでも髙橋が真ん中でサーブレシーブできる回数を増やしたらいいと思うんですけどね。
あとS1ローテ(セッターがサーブ時)のライトスパイクの決定率もアスパルホフはそこまでよくない印象ですし。
クッティーニ監督はどう考えているんでしょうか(それを現場で直接聞くのが僕の仕事ですが藍くんを優先しすぎたためにタイミングを逃しましたすいません…)。
負けてしまったけど今日のペトコヴィッチは18得点、2エース、1ブロック、アタック決定率48%で31本打ってアタック失点も3本と素晴らしい成績。
でもペトコヴィッチに頼りすぎている試合はよくない試合なんですよね。
ヴェローナは確かに高かったです。
220cmのOPサポジュコフはもちろん、OHのケイタとモジッチも抜群のジャンプ力で、パドヴァブロックの上から打たれたアタックが試合中何本あったかわかりません。
でもこの試合パドヴァはヴェローナの高さに負けたのではなく、サーブに負けました。
この点は抑えておくべきポイントではないかと思います。
イタリアリーグの記者席はだいたいコートエンド最前列に設置されていることが多いんですが、ヴェローナ会場の記者席はコートサイドの上の方でコートからそこそこ距離があります。
それでも、ファンクラブ応援団の数は多くないですが、ヴェローナ会場は一般お客さんの熱を感じられるいい会場です。
髙橋のファン対応もホームと比べると人数が少ないので、ひとりひとりにゆっくり対応されている印象でした。
より選手とお話したい方はアウェイマッチ観戦もおすすめですよ!!(笑)
僕もすべての会場にいったことあるわけではないですが、半分くらいは分かると思うので分からないことがあれば気軽にお問い合わせください。
とにかく次はモンツァ戦。
ここにもグロゼルという超強力なオポジットがいますが、なんとかサーブレシーブで耐えながら逆にサーブでせめて勝ち点3を取りたいところ!
Forza ragazzi!!!(みんな頑張れ!!!)
写真:Lega Pallovolo Serie A、筆者撮影
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